BRAVE2021 Spring 開催レポート
2016年から毎年開催しているBRAVEは、ディープテックに特化した事業化支援プログラムです。これまで100チーム以上の成長を支援し、BRAVE卒業生による資金調達は120億円を超え、BRAVEを契機とした創業も数多く生まれています。
今回は、今年開催した「BRAVE2021 Spring」で何が行われ、採択チームがどのように成長したかについて、まとめました。これから技術の社会実装に挑戦したい皆様に、少しでも参考にしていただければ幸いです。
1. “BRAVE”とは
BRAVEは、ディープテックといわれる高度な科学・エンジニアリング技術(ロボティクス、新素材、バイオテクノロジーなど)の社会実装の支援に特化したアクセラレーションプログラムです。
日本にはハイレベルな科学技術シーズがある一方で、事業化に必要なノウハウやリソースの整備が追い付いていないという現状があります。その結果、世に出ることのない技術が多く存在します。我々は、少しでも多くの素晴らしい技術を社会に還元したい、そのために挑戦する皆様の一歩を応援したい、という強い想いでBRAVEを立ち上げました。
BRAVEでの支援内容
BRAVEでは、主に以下のような支援を行うことで、短期間で資金調達が可能なチームに成長することを目標にしています。
- 技術系スタートアップの成長のカギを握る経営チームの強化
- 専門家・起業経験者によるメンタリング
- 事業計画の作成
- スタートアップに関する知識の補強
- 事業会社とのネットワーク形成を支援
また、同じ志を持つ起業家、スタートアップに挑戦する研究者と切磋琢磨できることもBRAVEの魅力の一つです。
2. BRAVEに集う“挑戦者”たち
BRAVE参加チームの主な目的は、資金調達の成功、そのために必要なあらゆるリソース・ネットワークの獲得です。
参加チームの主な属性は、ご自身の研究成果の実用化に挑む研究者、創業間もないスタートアップ、そして大企業からのカーブアウトを狙う方々です。
そしてBRAVEには、ほかにも“挑戦者”が存在します。それは、上記のような参加チームと共に、飛躍的な事業成長支援を実現する「技術系スタートアップの経営に意欲的なビジネスパーソンたち」です。彼らは「ILP人材」と呼ばれ、BRAVEとは別で運営している「Innovation Leaders Program」(研究領域の経営人材育成プログラム)に集まった方々です。
各参加チームに適した経験値やポテンシャルをもつILP人材がアサインされ、チームの一員として2か月間共に過ごします。
さらに、彼らを支援する経験豊富なメンター陣(特定分野の専門家、起業経験者)が、水先案内人として方向性を示しつつも、チームが自走し成長軌道に乗るよう導いていきます。
3. BRAVE2021 Spring 予選会~ピッチ大会まで
BRAVEの参加には、エントリーフォームの提出での書類選考⇒予選会でのピッチ審査を経て選抜される必要があります。書面のみならず、実際に対面(オンライン)させていただくことも重視しています。
選抜されたチームは、一連のイベントに参加し、それぞれが抱える課題の解決に挑み、一段上のステージに進むことを目指します。今年度は、バイオ・創薬、メディカル、アグリ・フード、AI、SDGsの5領域でチームを募集しました。新型コロナウイルス感染症拡大の懸念から、全てのプログラムはオンラインで実施されました。
5/22 予選会
書類選考を突破したチームによる3分間のショートタイムピッチが行われました。限られた時間でポテンシャルの高さをアピールする必要があり、緊張感のある会でした。最後には、ビジネス領域毎の交流会も実施されました。
ILP人材アサインのためのマッチング会
予選会を通過し、正式に採択されたチームは次のステージに進みます。数十名のILP人材に対して、事業概要・今後の取り組み・どんな人材を求めているかについてプレゼンを行いました。ILPの方は、一緒に事業を磨き上げるチームを見極めるべく、活発な意見交換が行われました。後日、互いの相性を見極めた上で正式なアサインがなされました。
6/12 Kick-Off
-The Dawn of your successful days-
いよいよ本格的な活動の開始です。全ての参加者の心に火をつけることを目的としたイベントです。
昨年度のBRAVE 参加者であり、その後の資金調達に成功した株式会社グリラス CEO 渡邊様と、BRAVEでILP人材としてグリラス社にジョインし、BRAVE終了後に正式にグリラスのメンバーになられた一色様より、BRAVEを活用するためのTipsや成長の軌跡について講演を行っていただきました。
また、各チームからBRAVEの期間中に達成したいゴールを共有し、メンター陣からのフィードバックがなされました。自分達の成長について明確に意識し、向こう2ヶ月を走り抜く決意を新たにした方も多かったはずです。
6/26 1Dayメンタリング
-Boost your entrepreneurship-
BRAVEのゴールである資金調達の成功に向けて、さらに一段階目線を高めるためのイベントです。Kick-Offからここまで頻繁にミーティングを重ねてきたチームに対し、現状の確認とより資金調達を意識した活動へのシフトを促します。
当日は、Beyond Next Venturesの出資先であるエレファンテックCEO清水様と、エレファンテックの創業期にエンジェル投資家として支援をされた鎌田様(Tommy K)によるトーク&パネルディスカッションが行われました。社会をより良くするためにスタートアップにしか出来ない役割、チャレンジする者としての心構え、成熟した社会のエスタブリッシュメントといかに関係を構築し味方を増やすか、投資家といかに付き合うか、など、ここでは書ききれないほど多くの学びがありました。
この頃にはチームにも強い一体感が生まれ、ピッチ大会に向けて一気に加速していきました。毎年のことなのですが、当初からのメンバーなのか、今回ジョインしたILP人材なのかは一切関係なく、同じ目標に向かってベストを尽くす、強いチームワークが生まれています。
オンラインレクチャー(全6回)
BRAVEではスタートアップに必要な知識面の強化を目的に、専門家による1時間程度のオンラインレクチャーを行っています。今回は、マインドセット、知財戦略、投資契約、シードファイナンスのポイント、助成金活用、薬事・医療機器の規制対応等について実施しました。
8/7 ピッチ大会 -Seize your dream-
BRAVE2021 Springの締めくくりとなるピッチ大会です。全11チームが投資家を想定したピッチを行い、12月に実施されるDemo Dayへの参加チケットを掛けて挑みました。
審査員として、IPO経験のある起業家、現役の創業経営者、VCのパートナークラス、PE出身のスタートアップ経営者をお招きしました。各チームのピッチ後の質疑応答では白熱した議論が行われました。
厳正なる審査の結果、下記5チームがDemo Dayへのチケットを手にしました。どのチームも高い技術力、魅力的な経営布陣、大きなビジネスポテンシャルを有し、僅差での順位決定となりました。
第1位 株式会社TOWING
第2位 株式会社fcuro
第3位 株式会社Onikle
第4位 株式会社yuni
第5位 コッコミクサチーム
Demo Dayでは賞金・BNVからの出資をはじめ、エンジェル投資家・国内VCを招いた資金調達の機会を設けています。Demo Dayに向けて更なるブラッシュアップを期待しています。
パートナーギフト
パートナー企業様からはギフトの提供もあり、オンライン開催でありながら大きな盛り上がりを見せました。(敬称略、50音順で記載)
Amazon Web Service 株式会社より、Amazon Echo Show 端末を株式会社fcuroへ
弁護士方針内田鮫島法律事務所より、無料法律相談チケットをFiber Craze チームへ
J-オイルミルズ株式会社より、オリーブオイルセットを株式会社TOWINGへ
ILP特別賞
BRAVEの特徴の一つであるILP制度、この2ヶ月をチームとともに駆け抜けた数十名のILP人材のうち、特に活躍した3名に特別賞が贈られました。
4 .BRAVE2021Springを終えて
毎年多くのスタートアップに参加していただいているBRAVEですが、本当にユニークで魅力的なチームばかりです。2ヶ月という短期間で一気に成長した「BRAVE Alumni」の今後の活躍を確信しています。
ILP人材の方々の中にはこれを契機にスタートアップにジョインしたり、キャリアを大きく転換する方もいらっしゃるかと思います。
BRAVE は「チャレンジする全ての人の踏み出す一歩を後押ししたい」、「有望な技術シーズをもつ研究チームやスタートアップと共に社会実装を実現したい」そんな想いでスタートしたプログラムです。これからも挑戦する全ての方を応援します!
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5 .ご協力頂いたパートナー企業・サポーター企業様の一覧
<BRAVE2021パートナー企業一覧>
アストラゼネカ株式会社
カゴメ株式会社
株式会社新日本科学
JSR株式会社
株式会社J-オイルミルズ
大正製薬株式会社
帝人ファーマ株式会社
株式会社デンソー
みずほ証券株式会社
株式会社三井住友銀行
株式会社三菱UFJ銀行
第一生命保険株式会社
損害保険ジャパン株式会社
株式会社産業革新投資機構
独立行政法人中小企業基盤整備機構